会社設立に際して、設立のメリット・デメリットは重要な判断要素となります。
以下では、会社の設立のメリット・デメリットについて解説していきます。
【会社設立のメリット】
■節税
会社は営利法人であるため法人税を納める必要があります。他方、個人事業主の場合は所得税を納めます。
法人たる会社は、経常利益を低めに設定することで法人税の税率を低くすることができます。また、役員報酬では給与控除の活用が可能となります。
したがって、税金の納付を抑えることができます。
他方、個人事業の所得税率は、累進課税制度に基づいていて算出されるため、最大で所得の45%まで税率が上がっていきます。
青色申告による控除も可能ですが、法人ほどの控除は見込めません。
したがって、課税額が900万円以上の場合は法人の方が節税の面においては有利であるといえます。
また、経営が赤字となった場合、翌年に繰り越して節税したい場合があります。
法人であれば9年間は欠損金(赤字)を翌年に繰越控除できますが、個人事業の場合は、3年間のみとなっています。
さらに法人の場合は、決算月を自由に設定できるので計画的に経営をすることができ、節税対策の実施も効果的に行うことができるといえます。
■融資や資金調達の容易
会社を設立する場合、資金調達をする必要があります。この際に、法人である会社は、金融機関からの融資が受け易くなっています。
他方で、個人事業の場合は、第三者保証人を必要とするなど、金融機関から融資を受ける条件が厳しく設定されています。
■信用性
会社を設立する場合、法務局に会社設立登記を申請しなくてはなりません。
登記事項証明書(謄本)には、資本金や役員等の会社に関する基本情報が記載されており、会社関係者かを問わず、法務局に申請すれば誰でも閲覧することができます。
会社情報が登記によって公示されているため、取引の安全を図ることができます。
■有限責任
株式会社や合同会社の場合、社員は間接有限責任であるため、出資の範囲内で責任を負えば足ります。すなわち出資額の範囲でのみ返済義務を負うことになります。
したがって、個人資産を差し押さえられることもありません。
他方で、個人事業の場合は、税金の滞納や借入金、未払い金等を最後まで返済しなければなりません。
【デメリット】
■ランニングコスト
ランニングコストとは、設備の維持等にかかる必要経費のことをいいます。
主なランニングコストには、法人住民税均等割、登記変更手続き費用、会計処理や法人税申告に係る費用、健康保険料及び厚生年金保険料などがあります。
とりわけ社会保険料は、従業員の数に応じて費用がかかるため、注意が必要です。
■設立手続き、解散・清算手続きの費用
会社設立の際には、株式会社の場合、登録免許税や印紙代として約240000円が必要となります。また、合同会社の場合でも、登録免許税や印紙代として約100000円が必要となります。
また、事業を廃止する際には、解散登記費用や清算結了登記等の費用が必要となります。
したがって、会社を開始・終了する場合にそれぞれ多くの費用が必要となります。
他方で、個人事業の場合は、廃業の届出等の提出をすれば足り、特別な費用が必要になりません。
大村信治税理士事務所では、新宿区、渋谷区、港区、目黒区を中心に、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、栃木県、茨城県といった関東地方の地域で、設立後の経理、出資金の税金、自宅の登記、といった会社設立・企業に関するご相談を承っております。
お悩みの際には当事務所までご相談下さい。
会社設立のメリット・デメリット
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